ハイコンテクスト
日本では逆にあまり細かなところまで話をすることを好まない傾向がありますよね。話し手も大まかに話して聞き手もそれを自分なりの解釈で受けとめて、よしとしているのです。
欧米のように「説明しないと分からない」という前提の具体的詳細なコミュニケーションはハイコンテンツと呼ばれます。
これに対し、日本のように「説明しなくても分かる」という前提のコミュニケーションをハイコンテクストといいます。ここでは説明は簡潔で要点を押さえたものが好まれます。「行間を読む」コミュニケーションです。
同じような環境で毎年同じことを繰り返す農耕生活では、こと細かな説明がなくても「分かっている」「知っている」という前提でコミュニケーションが成り立ちました。
企業社会になってもこのやり方が続いているのですが、必ずしも同じ経験や知識を共有しているわけではない相手との「言わなくても分かるだろう」というコミュニケーションが、多くのトラブルの原因ともなっています。
欧米型のコミュニケーションでは、技術やノウハウの伝承は文書、すなわちマニュアルで行われます。マニュアルを読めばすべて分かるようになっています。
日本型のコミュニケーションでは、技術やノウハウは人から人へ伝わります。
指導書などがあっても、本当に微妙なノウハウはやってみせて、やらせて、修得させ伝承されます。
団塊の世代の熟練工が大量に退職することによって、技術の伝承が危ぶまれているのは、このためです。
また、中国やアジアに技術が流出するのは、ノウハウを持つリタイアした熟練技術者が現地に赴き貴重なノウハウを伝えているという現実があります。
マニュアルや資料を持ち出すことはできませんが、人を通じて技術やノウハウが流出しているのです。
「欧米型」と「日本型」、どちらのコミュニケーションが優れているか、ということではなくて、二つの型があり違うのだと意識することが大切です。
いろんな人が集まる企業では「欧米型」の方が連携・協力しやすいので有利かもしれません。グローバル時代の異文化コミュニケーションにも「欧米型」がいいでしょう。
でも、耐えざる改善を行うチームとか技術を駆使して開発を行うチームなどでは、「日本型」のハイコンテスクトなコミュニケーションが適しています。
F1チームのピットでも多数のスタッフが無言のままコンマ1秒を争う給油やタイヤ交換などのメンテを行っています。サッカーなどのチームプレーでも一流チームほど声を掛け合うのではなく、アイコンタクトに感じて反応してプレーするといいます。
そのチームにとって最適なコミュニケーションを選ぶことが大切です。
欧米とのビジネスでは、彼らのコミュニケーションの基本はハイコンテンツ、すなわち微にいり細にいるものだと認識してしておくことが肝要です。
どんな場でも質問が多いのは、できるだけ明確にしたいと望む基本的なスタンスがあるからです。質問とその回答のやりとりが、コミュニケーションの大切な要素となっているのです。

